医療と仏教。
あなたは、この言葉が並ぶところにどんなイメージをお持ちになるでしょうか?
例えば、最近では仏教の色んな側面がメディアでも取り上げられてきているので、
「医療に仏教を活かす」だったり、「仏教で患者さんをケアする」など、
ポジティブなイメージが多くなるかもしれません。
でも、医療と仏教が邂逅するシーンを実際の現場で想像してみますと、
”病院にお坊さん”となるわけで、こうなると、
「命を救うところにお坊さんなんて、縁起がわるい。」
と考える人もいることでしょう。
それは、お葬式などを執り行う僧侶に”死”のイメージがあるからでしょうし、
病院にお坊さんがいるということは、
「ああ、誰か亡くなったのかな?」と思ってしまうのでしょう。
しかし、今回ある会に参加して、(スタッフ&参加者として)
”病院にお坊さん”もそこまで毛嫌いされてはいないのでは?
という感想をいだきました。
今回はその会の模様を少し伝えできればと思います。
医療×仏教
2017年7月21日、北九州は小倉で”寺超実行委員会”主催による
お寺超会議2017『医療と仏教のこれから~医療者と仏教者の対話~』という会が行われました。
基調講演に僧侶であり、終末期医療に携わる長倉伯博(ながくら のりひろ)さんを迎え、
意見発表に医師会の会長さんや、麻酔科医、薬剤師、看護師さんたちが登壇してくださいました。
その会に約40名が参加し、大分県や遠くは長崎県から、多くの仏教関係者や医療関係者が来場されました。
基調講演を聞いて
まず最初のプログラムは長倉先生の基調講演。
先生には「終末期医療と仏教」ということで講演をいただきました。
1953年鹿児島県生まれ。鹿児島県善福寺住職。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業。龍谷大学大学院修士課程(真宗学)修了。浄土真宗本願寺派布教使。日本緩和医療学会会員。国立滋賀医科大学非常勤講師。
先生は上記のような肩書きがある方ですが、
それよりなにより、非常に特徴的なのは、”笑顔”(と白い歯)
終始にこやかに、温かみのある話しぶりと、経験から語られる厚みのある内容に引き込まれました。
講演の中では、様々な終末期の方々と接してきたことを話してくださいました。
中でも印象に残った先生の言葉が、
「言葉一つで人を変えれるわけない。一緒に考えてくれる仲間がいるかどうか」
という、「聞く」ことを大事にする姿勢で、
どうしても「教える」という気持ちがぐぐっと大きくなる普段のぼくに、
とても身に染みるものになりました。
また、先生が関わっている病院では、
終末期の患者さんにはチームで取り組まれているということを知ることができました。
お医者さんや看護師さんなどの医療関係者や僧侶が一緒のチームになって、
治療やケアにあたるそうです。
その他にもぐっとくる話ばかりで、もっと多くの人にも先生の話を聞いて欲しいと感じました。
後半は医師たちが登壇
後半はゲストの医療関係者さんたちが順にお話をくださいました。
主に終末期医療に関することで、様々な立場からのお話は
興味深く聞くことができました。
また私の長年の思いとして、この会に参加する前には、
「病気の治療に当たる、お医者さんは僧侶のことをどう思っているのだろう?」
ということが気になっていましたがそのあたりのことを語ってくださった先生もいました。
特に、麻酔科の先生のお話が印象的で、
現場での患者さんを前にしたご家族とのリアルなやりとりや、
普段の処置に対する疑問を吐露してくださったので、
「お医者さんってこんなことを考えているのだ!」
という、素直な驚きがありました。
質疑応答
質疑応答では参加者から積極的に手が挙がりました。
仏教関係者からの質問が多かったようですが、
普段お医者さんたちと面と向かって質問できる場はなかなかないので、
(そもそも診察してもらう病院以外で接点もないので…)
大変に活気づきました。
参加して
この会に参加して感じたことは、大きく3点あります。
①医療現場では宗教者が求められている。
先生たちの話を聞いた上では、患者側も医師側も”死の解決”を求めているように感じられました。
②今まで、学んだことを実践的(現場レベルで)に生かす必要がある。
押し付けるのではなく、まずは聞くことが大事だと感じました。
③上記を踏まえて、日々の学びもゴール地点を見据えて吸収していく必要がある。
宗教者や仏教を求めている人たちがいて、どういう悩み、苦しみを抱えているのか、
そういう場を想定して、日々の法務に取り組んでいかないといけないなと思いました。
宗教者・僧侶は期待されている
終了後にスタッフと長倉先生、登壇していただいた医師のみなさんと
食事をしながら意見交換をさせていただきました。
(めちゃくちゃ貴重!ありがたいことです!)
そこでのお話もまた深く、教えていただいたのは、
・宗教者、僧侶は医療現場から、「期待」されているということ。
ある先生からは、「今の時期を逃したらまずいかも」というお話も聞けました。
つまりは、期待がかなり高まっているので、それに「今」答えていかないと
ということだろうと理解しました。
電車の時間があったので、後ろ髪引かれながら食事処を後にしましたが、
大変に貴重な時間を過ごすことができたと実感しています。
以上、お寺超会議2017 医療×仏教 『医療と仏教のこれから』~医療者と仏教者の対話~のレポートでした。
また、お寺超会議(寺超実行委員会)では、今後もおもしろい企画を行っていくとのことです。
次回の企画を楽しみにしたいですね。
資料の隅にこんなことが書いてありましたよ↓
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