『おげんさんといっしょ』を見たはなし
昨夜、NHKで生放送された「おげんさんといっしょ」を録画で見た。
今、大人気の星野源くんの冠番組で、今のところ一回きりということなのだけれど、実にゆるく画期的な番組だったと思う。
タイトルロゴは完全におかあさんといっしょで、衣装や見た目はサザエさん。
そして、なぜか『ととねえちゃん』の高畑充希がお父さんをやっていたり、逃げ恥出演の藤井隆が娘で、YMOの細野晴臣が息子という、実にカオスな設定だ。(さらには、ネズミ役にはスター声優の宮野真守!)
オープニングからゆるさ全開で、彼のやりたいことが詰め込まれたような番組だった。
最後には「間違ってもいい歌番組をやりたかった。」という、源くんのこのコメント。彼の言葉はけっこう身に染みる。
星野源とぼくのであい
ぼくが彼のファンになったのは10年ほど前。
『未来創作』という文芸誌に出されていた短編「急須」を読んだのがきっかけだ。(星野源の本、『働く男』に収録されている。)
この作品は日常の風景を実にうまくコミカルに描いていて、読後には気持ちがほんわかするものだった。
これに感動したぼくは、この人の作品がもっと読みたいと思って、さっそく短編の最後に書かれてあった著者名のクレジットを頼りに、大型書店に行って調べに行った。
当初、作家かなと思っていたので、書店に置いてある検索機を使ってあれこれ調べたけれど、結局、情報は出てこなかった。
その後、数日もたたないうちにサケロックというインストバンドのメンバーだということが判明するのだけれど、たまたまこのバンドを知っていたこともあって、「ああ、あの!」と、ここでつながることになる。
ちなみに、このサケロックは「千のナイフと妖怪道中記」という曲で坂本龍一の曲と、往年のファミコンの名作BGMをつなげるというおもしろいことをやっている。(この曲大好き。)
歌詞の魅力
星野源の歌はメロディもいいのだが、特に注目すべきは、歌詞。ヒットした「SUN」にしろ、「恋」にしろ、ふと大事な言葉が出てくる。
例えば、「ばらばら」という曲で歌われる、
「世界は一つじゃない。ああ、このままばらばらのまま。世界は一つになれない、そのままどこかにいこう」
という物悲しくも、多くの人がうなずける歌詞を書いたりもするし、
「くだらないの中に」という曲では、恋人との生活感あふれる一場面を髪の毛の匂いを嗅ぎあうということで表現する。
日常の描き方がとても上手で、生とか死とか、世の中の大事な事象すらも身近な歌詞として曲に落とし込む彼のセンスはほんとすごい。
…この記事を書いて、改めて思った。
ああ、そうか。こんなところに世の女子たちはキャーキャーいうのか。
30代の男子(まあ、おっさんね)もキャーキャー言わされてるんだけど。
というわけで、星野源、ぼくの推しメンです。
メンはメンでも、男のメン。
▼星野源の本
▼星野源の本『働く男』・短編「急須」はこちら。
▼『未来創作vol.1』・「急須」の初出はこちら。
コメント